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代表電話
0567-65-2511

診療案内

当院の心臓血管外科について

名古屋大学心臓外科学教室(六鹿雅登教授)の協力を得て平成15年4月に心臓血管外科を開設して診療をおこなっています。ここ20年間の心臓血管手術の発展には目覚ましいものがあり、多くの患者さんがその恩恵を受けつつあります。当然、医師の理念にも大きな変化が生じて、手術の適応なり、至適時期の決定にはそれぞれの施設ごとに内科医と外科医との間で真剣に討論が持たれるようになりました。心臓血管外科の手術は術者の経験などによって、手術成績が左右されることは否定できません。自施設の業績の集積により、手術適応を討論すべきです。原則として一人の患者さんの治療に関して内科医と外科医の間で大きな意見の相違があってはなりません。当科では開設以来、循環器内科医とチーム(ハートチーム)を組み協力して自己データを保有して、知識と技術を向上させるための努力をしています。

対象とする疾患

当院の心臓血管外科が対象とする疾患は、基本的には成人疾患になります。主なものは狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(冠動脈バイパス手術など)、胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、大動脈解離症(人工血管置換術など)、弁膜症、感染性心内膜炎(弁置換・弁形成術など)、不整脈(メイズ手術)、閉塞性動脈硬化症(各種バイパス手術)などです。先天性心疾患は成人期のものと新生児の動脈管開存症などを治療しています。

地域の先生方

当院では地域の先生方としっかりとした病診連携システムを構築しています。もちろん緊急性を要する疾患については直接ご連絡(代表 0567-65-2511に電話していただき心臓血管外科医師に繋ぐようにご指示ください)いただければ対応させていただきます。周辺地域の救急隊と勉強会で共有しながら密接な連携をとっており、平成22年6月からは、ドクターカーの運用も開始しています。救急科(平成18年4月発足)及びICUが救急疾患に対して積極的に介入しており心臓外科緊急手術への対応は極めて迅速です。また急性冠動脈疾患に迅速に対応するために平成20年9月にCCUを開設し、現在は救命救急センター内にその機能を包含しております。24時間循環器内科医師が待機する体制を確立しており、胸痛や心不全患者さんの常時受け入れが可能となっております。

主な疾患と治療法

  • 虚血性心疾患
  • 弁膜症
  • 大動脈瘤
  • 大動脈解離

詳しくは こちらをご覧ください。
我々のモットーは、患者さんにベストかつシンプルで安全性の高い血行再建術を提供することです。人工心肺そのものに侵襲性が存在することは否定しませんが、オフポンプCABGにも術中の急激な血行動態の変化に対応しにくいことや遠隔期成績がオンポンプのそれより若干劣るなどの欠点が存在し、再考の時期に入っています。現在は体外循環が問題無く使用できると考えられる症例ではオンポンプCABGを選択して完全血行再建を目指すことを基本方針にしています。しかし術後の脳梗塞や肺機能障害が懸念されるような体外循環ハイリスク症例ではオフポンプCABGを選択しています。手前味噌で大変恐縮ですがオフポンプ、オンポンプ手術の双方に習熟しており、しっかりした技術的な裏付けと根拠をもとに手術の安全性を確保しています。

  • オンポンプCABG
  • オフポンプCABG
術中大動脈エコー
左室形成術(ドール手術)
術後グラフト造影

オンポンプCABG

詳しくは こちらをご覧ください。
弁膜症に対する手術には弁置換術と弁形成術があります。近年、高齢者の動脈硬化性の大動脈弁狭窄症、及び僧帽弁では逸脱症や虚血性心疾患に伴った僧帽弁閉鎖不全症が増加しております。弁膜症は無症状に経過する期間が比較的長く心筋のダメージが予想以上に進行しています。成績向上のためには心不全に陥る前の治療がすすめられます。
弁置換術は悪い弁を取り除き人工弁に入れ換える手術です。機械弁と生体弁に分類されますが、耐久性に優れる機械弁、抗凝固療法の必要性の無い生体弁などそれぞれに特徴があります。近年では生体弁にも組織固定法や石灰化抑制処理など工夫が加えられ、耐久性の向上が見込まれています。

生体弁
機械弁
経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)
変性した僧帽弁
僧帽弁形成術のシェーマ
僧帽弁形成術
細菌に侵された僧帽弁
細菌に侵された大動脈弁

詳しくは こちらをご覧ください。
当院では以前から行っていた腹部ステントグラフト内挿術に加えて、令和3年9月より胸部ステントグラフト内挿術を開始いたしました。胸部ステントグラフト内挿術は胸部大動脈に生じた大動脈瘤に対して行うもので、従来は側胸部を大きく切開して体外循環を使用しなければ治療できなかった病変に対して、小さな傷で体外循環を用いることなく治療を行うことができます。
令和4年5月現在、7例に対して本法を行い、全症例で良好な経過を得ています。通常は胸部大動脈瘤を本法の適応としておりますが、大動脈解離の症例に対しても場合によっては施行することもあります。

大動脈瘤
胸部(上行弓部)大動脈瘤
弓部大動脈手術
胸部(上行弓部)人工血管置換
ステントグラフト用いた上行弓部人工血管置換
腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤切迫破裂
腹部大動脈瘤手術
4分枝人工血管による置換術
4分枝人工血管による置換術
腹部大動脈瘤ステントグラフト治療
腹部大動脈瘤ステントグラフ
腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術
胸部大動脈瘤に対する胸部大動脈ステントグラフト治療
大動脈解離に対する胸部大動脈ステントグラフト治療

大動脈解離症は高血圧などが原因で大動脈の内膜に亀裂が生じ動脈壁が裂けてしまう病気です。突然、胸部や背部の激しく引き裂かれるような痛みで発症します。この疾患は近年、増加の傾向にあり生命を脅かす大病で緊急性を要します。高血圧があり突然発症した胸痛や背部痛はこの疾患を疑います。すぐに救急車を要請して来院してください。
大動脈解離を発症された患者さん、そのご家族の方へぜひお読みください。

解離のメカニズム
Stanford分類
解離の合併症
解離の手術
急性大動脈解離
上行弓部大動脈人工血管置換術
  • 閉塞性動脈硬化症(ASO)
  • 動脈管開存症(PDA)

動脈硬化が進行して下肢に十分な血液が供給できなくなる病気で、「足の狭心症」とも言われています。下肢に限った症状として見られがちな間歇性破行(ある一定の距離を歩行すると下肢に痺れや痛みが生じてくること)は生命予後が不良で全身の血管病を知らせるシグナルです。ASOの半数以上に冠動脈疾患や脳血管障害の合併が認められます。

下肢血管造影

日常生活に支障を来す明らかな下肢の症状が認められる場合は血行再建の適応があると考えます。下記の臨床症状分類(Fontaine分類)が病気の進行度をみる指標になります。2度以上の症状があると治療が必要で間歇性破行が中等度以上の方は血行再建療法(血管内治療、手術)が必要になります。

  • 1度:無症状(冷感、しびれ)
  • 2度:間歇性破行(ある一定の距離を歩行すると下肢に痺れや痛みが生じる)
  • 3度:安静時疼痛(重症虚血肢)
  • 4度:壊疽、下肢の潰瘍形成(重症虚血肢)
血管内治療 (PTA)

治療については、こちらをご覧ください。

外科的バイパス手術
Y型人工血管によるバイパス
後腹膜経路によるバイパス
新生児期の心臓疾患です。胎児期に機能していた動脈管という組織が出生後に閉鎖しないため心臓や肺に負担をかけます。多くの症例が内科的治療に反応しますが、まれに外科的治療が必要となります。当科ではNICU管理のもと手術要請があれば積極的に治療にあたっています。お困りの際は緊急的な対応も可能ですので、小児科医師か当科の方にご相談ください。
新生児に対する動脈管結紮術
動脈管結紮術

入院の目安

区分 入院期間
冠動脈バイパス手術 約2~3週間
弁膜症手術 約2~3週間
胸部大動脈瘤手術 約3週間
胸部大動脈瘤手術 約2週間
腹部大動脈瘤手術(ステントグラフト) 約5~8週間
下肢血行再建術 約10日間

診療実績

  平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
単独冠動脈バイパス手術 43 38 41 44 52
CABG+弁膜症手術 17 12 13 3 4
CABG+大血管手術 0 0 2 5 4
単独弁膜症手術 19 24 12 21 20
弁膜症+大血管手術 2 4 2 0 3
胸部大動脈瘤 24 20 23 22 43
腹部大動脈瘤 27 32 29 26 28
末梢血管再建術 3 6 14 7 9

スタッフ
紹介

山﨑 武則やまざき たけのり

心臓血管外科代表部長

免許取得年
昭和63年
専門領域
心臓血管外科
専門医・指導医・認定医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医 ・ 指導医 / 日本胸部外科学会 認定医 ・ 指導医 / 日本外科学会 外科専門医・指導医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 臨床研修指導医
山﨑 武則

それぞれの患者さんに最良と思われる医療を選択して提供すること、心臓外科の緊急手術に24時間体制で対応すること、これらを常に念頭に診療を行っています。手術や処置によって患者さんの命が少しでも繋がること、我々の仕事のやりがいと喜びはそこにあります。この地域の循環器疾患の最後の砦としての自覚をもって日々努力していく所存です。

西 俊彦にし としひこ

心臓血管外科部長

免許取得年
平成22年
専門領域
心臓血管外科
専門医・指導医・認定医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医 / 日本外科学会 外科専門医 / 日本循環器学会 循環器専門医 / 日本ステントグラフト実施基準管理委員会 胸部ステントグラフト実施医 ・ 腹部ステントグラフト実施医 / 浅大腿動脈ステントグラフト実施基準管理委員会 浅大腿動脈ステントグラフト実施医 / 経カテーテル的大動脈弁置換術関連協議会 TAVR実施医 / 臨床研修指導医

令和2年より海南病院で勤務しております。日々、安全で質の高い医療を提供するよう心掛けています。よろしくお願いいたします。

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