放射線治療科では各種の悪性腫瘍に対してライナックによる外照射治療を行っています。
主科の医師との協力のもと、化学療法併用照射や多分割照射等により治療効果の改善に努力しています。
平成28年には最新の治療機器が導入され、画像誘導によるIMRT(強度変調放射線治療)やSRS(定位的放射線治療)、SBRT(体幹部定位的放射線治療)等の高精度治療を駆使して、なるべく病気の部位に狙いを絞って照射し、正常な部分へあたる放射線を少なくするように努力しています。放射線治療を受けられる患者さんのうちおよそ半分程度の方は外来通院での治療が可能です。
院内他科からのご紹介患者さんだけではなく、近隣の他病院からのご紹介患者さんの治療も行っています(他病院からのご紹介の場合は別記のように当科での入院治療は出来ませんのでご注意ください)。
当院で放射線治療を受けられる患者さんの数は年々増加しています(グラフ参照)。
原則的に主科の医師より紹介いただいて治療を行います。他病院からの紹介の場合は、地域医療連携センターを通じて予約を取っていただくようにお願いいたします。別記のように当科では入院治療が出来ませんので入院が必要な場合は、まず関連科に紹介いただいて入院の相談をしていただくようにお願いいたします。
放射線治療では多種のがんの治療を行っていますが、早期の喉頭がんでは手術せずに(声を失うことなく)完治が期待できます(図)。
当院でのこれまでの治療成績では、 喉頭がんの早期例29例の治療では5年粗生存率83.7%、5年原病生存率91.8%です。
また、早期肺癌では動画により腫瘍の動きを確認して腫瘍部位のみに正確に照射するSBRTという治療法を行っています。これにより強い副作用無く治療する事ができます。
放射線治療を行った患者さんのデータは放射線治療データベースに保存され、治療成績の検討や他院への紹介時の資料として利用可能です。
当科は入院ベッドを持ちませんので、入院での治療が必要な場合は、あらかじめ主治医先生より関係科に紹介・入院依頼をしていただくようにお願いいたします。
高精度放射線治療装置H28年10月稼動
原発巣別新規患者数(新患実人数)
注)H27年度は治療機器更新工事のため治療期間はH27年4月1日~H27年8月31日までの5ヶ月間のみ。H28年度はH28年10月より治療再開。
放射線科 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 |
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脳・脊髄 腫瘍 | 2 | 2 | 15 | 9 | 6 |
頭頸部腫瘍(甲状腺腫瘍を含む) | 9 | 9 | 12 | 18 | 24 |
食 道 癌 | 7 | 7 | 16 | 12 | 9 |
肺癌・気管・縦隔腫瘍(うち肺癌) | 18(18) | 33(32) | 75(75) | 76(76) | 72(72) |
乳 癌 | 27 | 27 | 74 | 53 | 30 |
肝・胆・膵癌 | 3 | 4 | 7 | 8 | 5 |
胃・小腸・結腸・直腸癌 | 6 | 14 | 20 | 11 | 18 |
婦人科腫瘍 | 7 | 6 | 2 | 5 | 4 |
泌尿器系腫瘍(うち前立腺癌) | 19(17) | 34(21) | 77(57) | 57(47) | 65(53) |
造血器リンパ系腫瘍 | 5 | 6 | 18 | 20 | 20 |
皮膚・骨・軟部腫瘍 | 0 | 2 | 3 | 1 | 4 |
その他(悪性腫瘍) | 1 | 1 | 0 | 2 | 3 |
良性疾患 | 0 | 3 | 3 | 4 | 1 |
15歳以下の小児例 (内数) | (内数)0 | (内数)0 | (内数)0 | (内数)0 | (内数)0 |
脳定位的照射(SRS) (内数) | (内数)0 | (内数)7 | (内数)14 | (内数)15 | (内数)11 |
体幹部定位的照射(SBRT) (内数) | (内数)0 | (内数)2 | (内数)13 | (内数)7 | (内数)17 |
強度変調放射線治療(IMRT) (内数) | (内数)0 | (内数)6 | (内数)44 | (内数)48 | (内数)69 |
大宝 和博
おおたから かずひろ
放射線治療科代表部長
堀川 よしみ
ほりかわ よしみ