診療案内

血液は、血球(白血球、赤血球、血小板といった細胞成分)と血漿(水や電解質、糖質、脂質、蛋白質などの液体成分)で構成されています。血液内科は、このうち、血球と、凝固因子など一部の蛋白質の異常を扱う診療科です。つまり、

  • 血球産生障害(骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、骨髄線維症など)
  • 血球破壊(血球貪食症候群、溶血性貧血、免疫性血小板減少症など)
  • 血球の悪性・良性腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、多血症など)
  • 凝固異常(血友病など)

といった疾患の、診断・治療にあたっています。血液内科の入院患者さんは常時25名ほどで、そのうち8割以上を血液悪性腫瘍が占めます。
当院血液内科の特徴は、総合内科・膠原病内科と合同で診療にあたっていることにあります。これにより、血液疾患のみならず、患者さんを既往・併存疾患・社会背景まで含めて包括的に診ることを目指しています。

血液内科で特徴的な検査

採血:

通常の血液検査は自動測定器で結果を出しますが、血液内科では技師や医師が顕微鏡で血球を観察し、機械では読み取れない異常を探します。

骨髄穿刺:

血球はすべて骨髄(骨の中心部)で造られており、骨髄での造血異常が疑われたときは骨髄穿刺をします。具体的には、腸骨(骨盤の骨)に局所麻酔をして針を刺し、1mlほど骨髄液を吸引します。検査時間は約10分で、一瞬、強い痛みを生じますが、痛みが残ることはまれです。血液内科の初診患者さんのうち、2割ほどがこの検査の対象になっています。

骨髄生検:

上記骨髄穿刺でほとんどの造血異常をカバーできますが、骨髄線維症など骨髄液を吸引できない場合や、正確に骨髄密度を測定したい場合、悪性腫瘍の骨髄転移など骨髄液では異常を検出しにくい場合は、骨髄生検をします。腸骨に局所麻酔をして、骨髄穿刺よりも太い針を刺し、1mm×1.5cmほどの骨髄を切り出します。検査時間は約15分です。以前は強い痛みを伴う検査でしたが、最近はエクストラクションカニューレという内刃が開発され垂直操作のみで骨髄を切り出すことが可能になり、骨髄穿刺とほとんど変わらない負担で施行できるようになっています。

(SEEN MANホームページhttp://www.sheen-man.co.jp/product/products_nonvas/core.htmlより)

血液内科で特徴的な検査

リンパ節生検:

リンパ節が腫れている患者さんのうち、悪性リンパ腫の可能性があると判断した場合に勧めます。頸部(首)から鎖骨のリンパ節であれば耳鼻いんこう科に、それ以外のリンパ節では外科にお願いしています。リンパ腫であるかどうかだけでなく、組織型(細かい分類)や遺伝子異常なども今後の治療計画のために調べる必要があり、ある程度大きく(1cm角以上)切除しますが、一般に局所麻酔で可能です。

外来担当医はこちら

対象疾患・治療について

主な疾患と治療法
悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは、リンパ球という白血球が悪性化(がん化)したもので、当院に限らず、血液内科の入院患者さんで最も多い疾患です。一口に悪性リンパ腫といっても数十種類の組織型があり、どれに相当するかによって治療方針が異なります。最も多い「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫」では、3週毎にR-CHOP療法という化学療法を行いますが、最初の1コース目は入院で経過観察し、重篤な合併症がなければ2~6コース目は外来で行います。どんなに病変が拡がっていても(転移が進んでいても)、完全に治癒する可能性があります。病変が拡がっていない(病期Ⅱ以下)ならば、化学療法は3コースで止め、放射線療法にて短期間で治療を終了できる場合があります。脳・脊髄での再発リスクが高い判断した場合は、予防的に抗がん剤の髄腔内投与を行います。特異な部位に病変を有する場合、例えば消化管リンパ腫では、治療の過程で消化管穿孔を来すリスクがあり、病変が消失するまで絶食+中心静脈栄養下で化学療法を行います。また、脳悪性リンパ腫の場合は、血液・脳関門により通常の化学療法剤は届かないため、大量メソトレキセートを含む化学療法+放射線照射を行います。

多発性骨髄腫

血液内科の入院患者さんで2番目に多い疾患ですが、人口の高齢化に伴い近年増加傾向にあります。多発性骨髄腫とは、文字どおり骨髄に腫瘍が多発する疾患ですが、腫瘍ならば何でも良いというわけではなく、形質細胞という白血球の腫瘍である場合のみ、「多発性骨髄腫」と呼びます。骨髄腫細胞が増殖することにより、骨を溶かして骨折しやすくなり、貧血や腎不全などの様々な症状を引き起こします。最近続々と新薬が開発されており、治療成績は飛躍的に向上していますが、残念ながら完全な治癒は依然として得られない疾患であり、QOLを重視しつつできるだけ長生きできるようにするのが治療目標です。65歳以下であれば、大量デキサメサゾンやボルテゾミブ療法で病勢を落ち着かせた後に、超大量メルファラン療法という強力な治療を勧めます。高齢の場合、あるいは全身状態が不良な場合は、大量デキサメサゾン療法やMPV療法などを中心に選択します。

多発性骨髄腫
骨髄腫により溶けた上腕骨(内部の黒く抜けた部分)

診療実績

疾患名 平成25年度 平成26年度 平成27年度
悪性リンパ腫 46 48 58
急性・慢性白血病 20 15 20
多発性骨髄腫 17 12 11
骨髄異形成症候群 7 7 8
再生不良性貧血 1 4 3
免疫性血小板減少症 8 10 15
その他 17 12 10
合計 116 108 125

新規に入院治療を開始した血液疾患の患者数

検査名 平成25年度 平成26年度 平成27年度
骨髄穿刺 253 277 266
骨髄生検 71 38 42

スタッフ紹介

矢野 寛樹

やの ひろき

血液内科代表部長
名古屋市立大学
医学部臨床准教授

  1. 造血器悪性腫瘍
    血液疾患一般
    がん薬物療法
  1. 日本内科学会 認定内科医・指導医・総合内科専門医
    日本血液学会 血液専門医・指導医
    日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法
    専門医
    日本がん治療認定医機構 がん治療
    認定医
    臨床研修指導医

中島 貴裕

なかしま たかひろ

医員

  1. 血液疾患一般
  1. 日本内科学会 認定内科医


                

中村 智幸

なかむら ともゆき

医員

  1. 血液疾患一般
  1. -
                

三谷 早智子

みたに さちこ

医員

  1. 血液疾患一般
  1. 日本内科学会 認定医
    日本血液学会 専門医
  1. 日本内科学会
    日本血液学会
    日本造血幹細胞移植学会

当院へのご質問・ご意見など、お気軽にお問い合わせください。

ページトップへ